■ Audio Short Essay  No.26 ■

◇ オーディオ趣味の衰退 ◇

最近のオーディオ業界の景気はどうなのか?
オーディオ業界関係者の人に訊くと、ほとんどが 「良くない」 と答えます。
オーディオの衰退 ----- 今、始まったことではありませんが、私がこのエッセイを書き始めた2010年に
も同じことを書きました。 携帯音楽プレーヤーと音質のいいヘッドホーンの登場で、高価で場所をとる
オーディオ・セットは、ますます駆逐されていきます。

本屋でオーディオ関係の書籍を見てみると、だいぶ数が減ったとはいえ、まだ 5〜6種のオーディオ雑誌
が売られています。これらの本の内容が昔と異なるのは、最近のオーディオ雑誌は 「新製品カタログ」
と化していることです。オーディオ評論家があれこれと褒めたたえ、機器のマイナス面はマスクされ、
あまり表に出てきません。本のわずかなスペースには機器の使いこなしの記事もありますが、ほとんどが
組み合わせの解説などで、環境整備についてはほとんど紹介されていません。

これら雑誌の読者は、オーディオ機器は高価な物ほど良い音がする、というイメージを定着させます。
使いこなしの部分が飛んでいるため、夢を追って高価な機器を導入したオーディオ年配者が、理想の音
を再現できず、オーディオを離れていくという、残念な結果も目にします。

業界では 「ハイレゾ」 を今後のオーディオの切り札として宣伝していますが、CDですばらしい音が再現
できずに、ハイレゾで、あっと驚く音が出る、とは思えません。 また最近、LPレコードのリバイバルで、
LPプレーヤーが新聞の見開き 2ページ大で、新製品として発表されましたが、このメーカーでは、どんな
販売計画を持っているのか、訊いてみたい気がします。

オーディオは他の趣味と違って目標が一つである事が特徴的です。 「良い音で聴きたい。」 この一点が、
オーディオを愛する人たちの共通の願いです。ところがマニアの方の装置を拝見するとき、本来の目標を
見失っている方々も見受けられます。機械マニア、古物マニア、陳列マニア、ブランドマニアとも見て取れ
る愛好家です。これはこれでりっぱな趣味とお見受けしますので、文句を言う立場にはありませんが、
本来の目標を貫いている愛好家には、なかなかお目にかかれない現状があります。

私は、以前よりオーディオ本来の目標に向かって、お役に立てればと思いやってきましたが、オーディオ
の環境整備の必要性は、なかなか浸透していません。環境整備の効果を実感できる機会が、非常に少
ないことが理由のひとつに挙げられます。分っていてもなかなか踏み切れない場合もありますが --- 。
ここ20年来、景気が盛り上がらないのも、オーディオ発展にブレーキを掛けているように思います。
今後、昔のようにオーディオに花咲く日は来るのでしょうか。




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