■ Audio Short Essay  No.24 ■

◇ 試聴室の機器トラブル事件 ◇

当試聴室のパワーアンプが壊れました。それも、お客様が試聴に来られている大事な時に ------ 。
そのパワーアンプはスコーカー用で、2日前までは正常にスピーカーを鳴らしていました。

約束の当日 「オーディオ相談をお願いしたい」 というお客様に、まずは試聴室の音を
聴いていただくことになりました。音の感想を、お客様からお聞きするのが毎回楽しみで、
そのノリでボリュームを上げていくと -------- 出てきた音は、鼻をつまんだような音でした。
私は、パワーアンプの電源スイッチを入れ忘れたのか、と思いました。
ところが、そうではありませんでした。 メーターのランプが点いています。

「ウソでしょ〜〜〜 !!」  私は頭に血がのぼってきました。冷静さを少し失い、
とりあえず、手荒な衝撃を一発、与えてみました。 変化はありません。
間もなく 「すぐには正常復帰しない」 ということが分かりました。
そして決定的な問題は、このとき、予備のアンプが無いことでした。

私の後ろで不審な表情をしている、と思われるお客様に、何と言うか。
まさか 「また改めておいでください」  とは言えないでしょう。
「少しお待ちください」  と言いながら、私は覚悟を決めました。
質は多少落としても、とにかく、音を出さなければならないと ---------。

まず、ツィータのパワーアンプをスコーカー用に繋ぎかえます。そしてスコーカーの上限カットオフ 8000Hz を
やめて、上限いっぱいまで延ばします。つまり本来 4way のシステムを 3way にしました。ツィータがないわけ
ですから、ピアノやドラムショットの、カチッとした音は出なくなります。そこでスコーカー上限の音圧を少し
上げて、聴感上はそれらしく聴こえるように調整しました。お客様がかけてほしいという CD をセットして、音だし
します。ここで、お客様から出た言葉は 「高音が歪んでいますね」。 この試聴室では、かつてお客様から
このような評価を受けたことはなく、私は強いショックを受けました。そこで試聴室のテスト盤であるオペラの
圧倒的迫力で迫ることにしました。細かく調整をしていくと、お客様の口から 「すばらしい!」 の言葉を
聞き、私は救われました。

お客様との打ち合わせも終わり、私は考えました。
今回の不手際は、試聴室に予備のパワーアンプを用意しておかなかった事が、最大の問題でした。
ともかく、このパワーアンプはすぐに修理しなければなりません。しかし、長い期間使い続けたこのアンプは、
修理後も、いつ故障が再発するかも知れません。 と、このとき頭の中に、久しぶりに新しいアンプを新調
しようという思いが、湧き上がってきました。
                                ----- つづく。



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