■ Audio Short Essay  No.20 ■

◇ 第2試聴室のその後-2 ◇

専用オーディオルームを実現したTさんの戦いが続きます。  ( 注 : この記事はTさんの了承を得ています )

Tさんの、4ウェイ・マルチアンプシステムの音の特性を測ることになりました。 (図は割愛します)
まず、ウーファ (LE15A) の受け持ち帯域では最低域が少し早く落ち込んでいます。これはバスレフの
ポートがまだ最適な状態になっていないと考えられ調整が必要です。ミッドバスは、LE14A のエッジが
かなり固く、 ウーファ には適さないため中低域に使ったのですが、立派に役目を果しています。
スコーカ (LE85) はショートホーンで下限が 1kHz を切ることは出来ませんが、非常に歯切れがよく
現代でも、これを超えるユニットは限られると思わせる音です。LE85 と 075 のコンビで JBL の
骨格が形造られていて、ジャズ、和太鼓、津軽三味線を聴くと、もう堪りません。

測定を進め、右chのトィータの測定をしたときです。
トィータ (075) の特性が、左chに比べて少し歪んでいるのが分かりました。ユニットを外して中を
開けたところ、ダイアフラム(振動板)にシワが寄っていて、何時かの時点で、このユニットが人の手で
開けられていた痕跡がありました。「特性は正直だね」 と、私とTさんは妙なところで感心していました。

その後、しばらくしてTさんは 「075 のダイアフラムを入手した」 といって私に見せてくれました。
そして、そのダイアフラム交換に私も立ち会いました。問題の右ch のトィータを開き、ダイアフラム
を取り出して、新旧のダイアフラムを見比べてみたところ、微妙な差がありました。
ダイアフラムの取付ピッチは同一ながら、ダイアフラムの曲面形状がかなり異なります。よく見ていくと
ボイスコイルの位置が従来品より 2mmも下に巻かれていることが解りました。これは重大な発見です。
私は悪い予感がしました。トィータの磁気回路は小さいため、2mmでもボイスコイルが磁路から
はずれてしまう可能性があるからです。

とりあえず、今回入手したダイアフラムを右ch だけ交換して音出ししてみます。案の定、音圧は低く
通常の10倍のパワーを入れても十分な音量は出てきません。また 075 特有のパンチのある音は
影をひそめました。このダイアフラムは恐らく他の機種のもの (たとえば 077) かも知れません。
二人ともガックリして元のダイアフラムに戻しました。
今回購入したダイアフラムは、残念ながら正規品かどうかの確証は得られませんでした。

今後の対策ですが、Tさんもいずれ ヴォイシング・イコライザ を導入する計画があるので、右ch
トィータの特性はこのときに補正することになりました。今回の件は、Tさんにとっても良い教訓に
なったものと思います。



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