■ Audio Short Essay  No.18 ■

◇ 幾組ものオ−ディオセットは必要なの? ◇

前回に続いて、また少し言いにくいことを言います。
以前、オーディオマニアのお宅の写真を見て、まだオーディオ初心者である私の知人が 『なぜ、あんなに
沢山のオーディオセットが必要なの?』 と私に訊いてきたことがあります。そのとき私は 『オーディオは
趣味だから上限というものがない---』 と、冗談半分に答えました。後になって再びこのことを考えると、
ある重要な問題があることに気付きました。多数のセットを持っているマニアの心の内は------

  A.ひとつのオーディオセットでは、複数の音楽分野の音を満足に再現できない。
           いろいろな可能性を追求するうちにセットが増えてしまった。
  B.名機と呼ばれるネームバリューに弱く、次第に購入品が増えた。
  C.生来、機械好きで収集品の多くはオブジェとして部屋を飾っている。
  D.マニアと思われるように、多数のセットを持っている。

このように、多数のオーディオセットを持っている理由は人それぞれですが、この中でオーディオ
技術に関して重要なのが 【A】 の項目と思われます。 考えられる原因をいくつか挙げると-----

  1.部屋の音響特性に癖があり、ひと組のセットではオールラウンドに再生できない。
  2.ひと組みの装置で聴いているうち、次第に機器の弱点が見えてきて物足りなくなった。
  3.自分が好むレコードまたは特定の曲を、最も自分に好ましく聴こえるように調整した結果、
      本人が気付かないうちに、そのセットがかえって癖のある特性になってしまっている。
  4.セットを使用している本人が、本当の楽器の音を知らないで調整している。

これらの項目は、セットを所有するご本人が気づいて修正できる部分と、本格的なオーディオコンサル
で調査しなければ解決しないものもあります。 私が特に注目したいのは 【3】 の項目です。オーディオ
愛好家の所有する音源の中で、ご本人の最も好きなレコードは、音質についてもベストである---という
思い込みがあるかも知れません。このような場合この方のオーディオセットの調整は、通常このレコードを
基準に行われることが多いと思います。このレコードが客観的にみてバランスのとれた優れた録音なら
幸いですが、そうでない場合、この調整の結果が癖のある装置を生んでいる可能性も考えられます。
このような問題に対処するため、基準にした音源を著名な試聴室に持ち込んで聴かせてもらうことで、
この音源の音質を客観的に判断することができ、有意義な方法と思います。

オーディオは趣味なので、セットを多数持つということに他人がとやかく言うことはできませんが、費用
を集中して効率よく良い音を得るために、これらのことを冷静に考えてみる必要があるかも知れません。




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