■ Audio Short Essay  No.17 ■

◇ マルチアンプ・システムについて その4 ◇

今日は、言いにくいことですが、あえて言いたいことがあります。

このホームページを見ていただいている皆様の強い関心のひとつが、 「マルチアンプシステム」 である

ということが検索統計から 見ることができます。マルチアンプシステムが 「アラジンのランプ」 のように

オーディオの難題を一気に解決してくれるごとき風潮に見受けられます。マルチアンプシステムが数々

の長所を持っていることは、関心の深い皆様方には知られていることですが、すべてのオーディオマニア

がこのシステムに移行したとき、その方々に幸せは訪れるのでしょうか。残念ながらそうではありません。

このように言うと、経験者の上から目線の物言いで好きではありませんが、このシステムを生かしきるには

測定器などを使った計測技術と、どんな機器が最適かを見極める眼力が不可欠になるからです。


「マルチアンプシステムについて その3」 にも述べましたが、聴覚だけに頼ってこのシステムを組むと

十分な完成度を得ることは出来ません。調整箇所が非常に多いマルチアンプシステムを、聴覚だけで

まとめること自体に無理があるのです。またマルチアンプでワイドレンジを狙う場合、これに使用する

スピーカ・ユニットと低域用キャビネットについての深い知識が必要になります。つまりマルチアンプ

システムを組むということは、継続するための費用、機器の素性を知り抜いて組み上げる技術、諦めない

粘り強い探究心が必要 ということになります。もしあなたがマルチアンプシステムを組もうと決断したなら

もうLCネットワークには決して戻らないという覚悟が必要です。一度この世界に入ったら、マルチアンプ

システムの可能性を信じて突っ走るしかないのです。


そうして完成したマルチアンプシステムは、LCネットワーク・システムでは得られないリアルな世界を体験

することが出来るようになります。私は多くの人にマルチアンプシステムの素晴らしさを伝えたい気持ちと

同時に、人から聞きかじった程度の知識で安易に手を出すと、必ず失敗するということも言いたいのです。

『 そんなことは個人の勝手でしょ---』 という声がすぐに聞こえてきそうな気がします。その通りです。

別にこんなことを私が言う必要もないのですが、コンサルタントという立場がら一度 言っておかなければ

ならないと思ったのです。


しかし、LCネットワークを使用したスピーカーシステムがダメと言っている訳ではありません。何年か前に

聴いた 「タンノイ・キングダムロイヤル」 の音響に圧倒されました。そして その値段も圧倒される額でした。

これはLCネットワークでも費用と技術を惜しみなくつぎ込めば、マルチアンプシステムをしのぐ音が出せる

のだという見本のように思います。一度に多額の出費をすることなく、少しづつ完成度を上げていくマルチ

アンプシステムは、オーディオ愛好家にとって今も昔も永遠の憧れなのでしょう。





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