■ Audio Short Essay  No.16 ■

◇ Western Electric スピーカーの魅力とは ◇

この秋、各地のオーディオ展示会では新機種発表などで、オーディオ・ファンを賑わしていますが、一方で

ヴィンテージ・オーディオを愛好する人々も少なくない、と聞いています。 特にウエスタン・エレクトリック

の真空管アンプ、スピーカーを神器のように、あがめ奉っている人達もいるとか ‐‐‐‐


以前、私のコンサルティングを依頼されたお客様で、ウエスタン・エレクトリックのシステムを使われていた

事例があるのでご紹介しましょう。 この時のスピーカーは WE 757、アンプは WE 124A でした。


   ★ Western Electric 757 ‐‐‐‐ モニター用2ウェイ・スピーカー・システム (1947年頃の製造)
      ( 728B 30cmウーファ、 713C ドライバー、 KS12027 ホーン )


このスピーカーの音圧・周波数特性を右に示します。
(部屋の影響を極力少なくするように測定しています)

音質は、「中音域の張り出したすこぶる明快な音」と

いうのが第一印象です。聴かせていただいた曲は

三味線、ヴォーカル、ブラスバンドなどでした。

これらの音源はオーナーが自信を持って選んだもの

ですから、誠に実在感のある素晴らしいものでした。

ただ、ジャズやオーケストラなどは聴いていない

ので、どのような音を響かせるのか分りません。


音圧・周波数特性から少し分析すると 1.5KHzを中心に中域が盛り上がった特性です。

60年以上も前の音響装置では、増幅器出力が数W〜10W程度が普通で、対するスピーカーに求められる条件は、

実用になる音圧を確保するために高感度であることでした。広い劇場などでは遠くに音を飛ばす必要がある

ため、明瞭に聴こえることも重要でした。高感度設計では振動板を軽くしなければならず、その結果、低音再生

には大きなキャビネットが必要になり、高域では強度不足による分割振動で高音を十分延ばすことが出来ません。

このように当時のスピーカーは、高感度で中音域の張り出した特性になったと考えられます。


当試聴室のシステムでデジタルイコライザを使用して、1.5KHzを中心とした山の特性を作ってみました。

客先で聴いたあの音が蘇ってきました。中音域が主体の楽曲では、確かにすばらしい音に聴こえます。

ウエスタン・エレクトリック・スピーカーの音質については賛否両論がありますが、オーディオ愛好家の

環境が様々な現状では、このスピーカーをこよなく愛する人がいても、おかしくはないのでしょう。



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