■ Audio Short Essay  No.9 ■

◇ マルチアンプ・システムについて その3 ◇

マルチアンプ・システムについての話が続きます。

前回までの話でマルチアンプ・システムを組むために必要な機材が整ったとします。次に重要なことは

これをどのようにまとめ上げて運用するか、ということになります。ここで押さえておくべきポイントは・・

 @各帯域の出力特性を測定し、各ユニットの受け持ち帯域の幅とレベルを決定する。

 Aリスニング・ポイントの音圧・周波数特性を測定し、定在波などの影響が出にくいセッティングをする。

 B部屋の残響特性を測定し、吸音板などを使って程良い残響時間を確保する。

 Cできればイコライザを使用して定在波の影響を補正したり、曲のジャンルに応じた微調整をする。


上記の項目を把握するためには、音圧-周波数特性などを測定する計測器が必要になるわけですが、多くの

人はまず、自分の耳で調整を始めると思います。私の場合もそうでした。しかし確たる基準がないため、

想定の上に想定を重ねるという、誠に気分の悪い結果しか得られませんでした。それでも、この調整がうまく

出来たとしたら幸運です。不幸にも、なかなか良い結果が得られないと、個々の機器の能力が不十分では

ないかという疑念がわき、再び機器の交換を繰り返すといった悪循環にはまりやすくなります。

やはり、機器の能力を十分に引き出すためには、基本的な特性をしっかり把握しなければなりません。


最近では中級アンプを買う値段で測定器が手に入ります。測定器を用いて調整していくと、人の耳では調整

できない限界があることに気付かされます。マルチアンプ・システムは、この測定という領域にまで踏み

込んでこそ、「究極のシステム」 と言われる能力が発揮出来るようになる、という事が理解できます。


ではここで、その測定器を入手したら百人力か・・・というと、そう簡単ではないのです。あなたの部屋で

測定器を使って、リスニング・ポイントの測定をしたとします。おそらく、あまりの特性のあばれ様に絶句する

かも知れません。測定器を入手したからといって、当たり前ですが最終特性が保証されるものではないのです。

マルチアンプ・システムを組んだあとの特性把握は、どのオーディオメーカーでも守備範囲の外になるので、

だれも助けてくれる人がいないという心細さです。

マルチアンプ・システムで最終的に成功している事例が少ないのは、このあたりに理由がありそうです。






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