■ Audio Short Essay  No.1 ■

◇ オーディオ趣味の行く先 ◇

音楽を聴く手段として、近年は若い人を中心に携帯型音楽プレーヤーでの再生が主流となり、昔ながらの

スピーカーで音楽を聴くユーザーは、だんだん減少傾向になりつつあります。

携帯型音楽プレーヤーは信号圧縮技術が発達し、ヘッドフォンも ますます高性能化して、一部には

もはや、スピーカーと肩を並べるものもあります。


若者が初めて携帯型音楽プレーヤーに接したとき、この時点で音質の不満を持つ人は極く少数と考えられます。

団塊の世代が昔、「もっと、もっとよい音を」と渇望したあの気持ちは、今の若者には理解しずらいでしょう。

それでは、全てのオーディオ・音楽愛好家がヘッドフォンで満足かというと、少し様子が違います。


ヘッドフォンでは どんなに音量を上げても、頭の中は音で割れんばかりになっても、体には響きません。

精緻なモニターで物を見ている様で、きれいで美しくはあっても、実物の放つ実体感は伝わってきません。


スピーカーによる再生音楽は自分の部屋の中に、生に近い音を再現し、生の音を擬似体験することにあります。

ところが生の音のダイナミックレンジ、広い周波数域を再現するためには、多額の出費と試行錯誤の積み重ね

が必要です。ヘッドフォンの音を見返すほどのレベルに達するために、要する膨大なエネルギーを考えると

私はスピーカーの再生音楽を応援する立場にいながら、スピーカーでの再生手段を単純に

勧められない心境になります。・・・・もはや、この趣味は衰退の一途なのでしょうか。



もっとも、究極の音を目指さなければ、それほど神経質になる必要もありません。

オーディオ趣味も鉄道趣味と同じように、その内容は多岐にわたっており、それぞれの楽しみ方があるからです。


しかし、これらの楽しみ方も いつしか忘れ去られ 「昔はアンプを手造りした人も いたんだって・・・」 などと

語られるように ならなければよいのですが ・・・・・・・








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